ダウンタイムの「かゆみ」について

脂肪吸引後のダウンタイムは「かゆみ」も見逃せません。
ダウンタイムと聞くと「痛み」や「内出血」を思い浮かべがちですが、実際に脂肪吸引を行うと「かゆみ」も気になる症状のひとつだと実感します。
症状をみて対策をしないと仕事に集中できなかったり、ひっかいて傷になってしまったり。悪化すると色素が沈着してしまって長期間のケアが必要になることもあります。
ダウンタイムの「かゆみ」についてしっかりと理解を深めてから対策しましょう。

ダウンタイムの”かゆい”の原因

かゆみが原因で仕事や勉強に集中できない。ふとした時にかゆみが走りイライラしてしまう。などで相談にいらっしゃる方も多いですが、大半の方が術後のケアを怠っている事が大きな原因です。
症状の原因と解決方法を知った上で対策することで、かゆみの軽減を実感できるでしょう。
脂肪吸引後に起こる、先述の摩擦や血行を含めて「かゆい」の原因からみていきましょう。

後遺症としてのかゆみとは、術後のテーピングや包帯の圧迫・摩擦、拘縮からの乾燥が原因となります。いわゆる「かぶれ」た状態の事であり、テーピングを外すしてしまえば時間経過で症状は治まっていきます。かぶれ(接触皮膚炎)とは皮膚が刺激性のものに触れて起こる湿疹性の炎症です。ここで言うところの刺激性の物質にあたるのがテーピングの繊維や粘着性のある部分です。症状としてはかゆみやヒリヒリとした痛みを伴って赤みやぶつぶつ、腫れや水ぶくれが見受けられます。悪化すると色素沈着やガサガサ肌、皮膚のデコボコにつながるなど、改善に時間を要する結果となります。しっかりと症状を見て原因を判断し、対処法を心得ておくことが大切です。

脂肪吸引後のかゆみは、術後~3か月程度まで続くことがあります。術後のかゆみを伴う部位については「クリームなどで保湿対策」「マッサージ」などで症状を緩和できることが多く、ダウンタイムの改善によく取り上げられます。

テープによるかぶれ


情報提供ブログ(太もも当日)
これらの症状は、術後の圧迫固定のテーピングによる摩擦で起こり、赤みを伴います。

脂肪吸引に限らず、手術後の皮膚はむくみを伴い、通常よりもデリケートな状態です。
そこを粘着性のあるテープで固定したり、圧迫などで刺激を与えたりすることで、弱った皮膚が炎症を起こし、その結果、かゆみが生じます。
また、かゆみが続くと水ぶくれへと変化し、ひどくなると色素沈着を引き起すこともあります。
色素沈着とは、赤みが引いた後に茶色い跡となる現象で、ニキビで起こる皮膚トラブルと同じです。

▶︎当院では、かぶれの場合はステロイド軟膏を塗っていただきます。ただし、1週間以上は塗り続けないようにご案内します。これは色素沈着を防ぐためです。

乾燥によるかゆみ

クリームで保湿

脂肪吸引後1週間ほど経過して硬縮(拘縮)が出てくると、肌のかさつきやツッパリ感が出て、皮膚も乾燥しがちです。これに伴ってダウンタイム中にかゆみを感じることがあります。

情報提供ブログ(思わぬ術後症状)

▶︎改善するには保湿が有効です。ローションやクリームを使ったマッサージを行ってください。

弱めの「痛み」としてのかゆみ

かゆい箇所に赤みがなければ、程度の弱い「痛み」とお考えください。
一般的には難しい判断で、これが痛みなの?と思う方が多くいらっしゃるでしょう。
かゆみの原因を知った上であれば、「皮膚に赤みもなくかぶれもないが違和感があって払拭したい」という状況になったときに正確に判断できます。

▶︎この場合、原因はあくまで痛みなので、鎮痛薬が効果的です。

かゆみを軽減するための対処法&セルフケア

ダウンタイムの”かゆみ”を早く解消したいのなら【禁酒・禁煙】

ダウンタイムは禁酒・禁煙、適度な運動がおすすめ。

アルコール:
アルコールの摂取は浮腫みにつながる。血管内脱水の作用で一時的に血液濃度が高くなり、危機回避のために血管内に水分を取り込んで血液濃度を低くしようとします。この際取り込んだ水分が浮腫みの症状として現れ、テーピングの圧迫・摩擦を強くしてしまい、ダウンタイム中の”かゆみ”の症状を悪化させてしまう結果になります。

また、浮腫みによってサポーターのサイズが合わなくなるなど、症状を悪化させる原因となりますので、脂肪吸引後の飲酒はお勧めしません。

喫煙:
喫煙は血管を縮小させてしまい血行が悪くなる。血行が悪くなることで代謝が下がり、正常に水分を排出できなくなり、結果的に脂肪吸引後の固定に対して圧迫と摩擦が必要以上に強く感じることでダウンタイム中の”かゆみ”の症状を悪化させてしまいます。

また血行が悪くなるとダウンタイム症状の消退が遅れ、症状が長く続いてしまう事につながりますので喫煙は控えていただく事をお勧めしています。

アイシング

かゆみは暖まるとムレて悪化するので、ダウンタイム中の患部はなるべく通気性を良くして涼しく保つことも大切です。手術直後の火照りを感じるような時期は、保冷剤などでアイシングしてください。
ただし、手術4日目以降、徐々に血行が良くなってきたらアイシングは逆効果になるのでやめてください(冷えによる血行悪化が、むくみやあざの回復の妨げになります)。

マッサージ

腫れやむくみが引いてきて、肌の乾燥が強くなってきたら、お気に入りのクリームやローションを使ったマッサージが効果的です。
保湿しながら血行を改善していきます。

また、硬縮(拘縮)のためにしこりを感じる部分は揉みほぐしてみてください。皮膚を押し伸ばすことでツッパリ感が解消され、かゆみの軽減につながります。
「ダウンタイム期間中の拘縮」についてのページでマッサージレクチャーを行っています。

ダウンタイム中の「硬縮(拘縮)」について

ダウンタイムケア用のボディトリートメントでおすすめ【DOWNTIME】
「外から直接塗る栄養」

適度な運動

適度な運動を取り入れることによって血行が良くなります。一般的に摩擦や蒸れによって”かゆみ”の症状は強く感受します。そのうえで適度な運動をお勧めする理由は、症状の早期消退です。

対象部位の通気を良くして適度な運動を取り入れることで代謝を促します。通常よりも早く”かゆみ”を含めたダウンタイムの症状が解消されることが期待できます。ダウンタイムの早期脱却というより良い結果に繋げる為にも、適度な運動やストレッチは是非とも取り入れたい対策です。
※ただし、術後当日~抜糸をするまでの約1週間は運動は控えてください。

入浴

血行を良くする理由からシャワーよりも入浴、入浴時にマッサージなどを行う事でかゆみの症状を緩和できるでしょう。
一般的に温まるとかゆみが現れるとされていますが、こちらはムレる事が原因です。対象となる部位の通気性を良くする意識とアイシングを行いましょう。詳細はアイシングの項目でも触れていますが、手術4日目以降、徐々に血行が良くなってきたらアイシングは逆効果です。

処方薬の服用

痒いときには、無理せず薬を利用することも有効です。ただし長期間塗り続けると逆効果になる薬もあるので、頻度や使用期間については医師の指示に従ってください。飲み薬として抗ヒスタミン薬(ザイザル錠:レボセチリジン塩酸塩錠)を処方する事があります。皮膚のかゆみや腫れなどの症状を改善する薬ですので、スタッフの指示に従って服用してください。

食事

大事なのは水分補給
かぶれ(接触皮膚炎)とは皮膚が刺激性のものに触れて起こる湿疹性の炎症との事で先述しましたが、炎症を起こしてしまった後はいかに症状を抑える事ができるかが重要です。
かぶれで起きた炎症を抑える為には水分が必要です。水分不足の状態では炎症が収まりづらく症状が長引いてしまいます。

術後2週間ほどはこまめな水分補給を意識しましょう。必要以上に水分を摂取する必要はありませんが、いつもより少し多めに摂取するという意識が大切です。一度にたくさんの水分を補給するのではなく、30分おきに一口など数回に分けて少量ずつ摂取することが望ましいです。また、体を冷やすことで血行が悪くなりますので、冷たいお水などは控えて常温のお水を選びましょう。

脂肪吸引で組織が欠損しているため、修復にたんぱく質を必要とします。ダウンタイムの回復を早める為にもたんぱく質の多く含まれる食品を意識して摂取しましょう。

栄養補給が難しい項目についてはサプリメントで補う事もおすすめです。代謝と血行を促進させるビタミンBや血液に不可欠な亜鉛など、過剰摂取を避け、一日の摂取目安を守って服用する事がおすすめです。

サポーターのサイズをチェック

サポーターの締め付けがきつすぎると、かゆみがひどくなります。キツイと感じる場合は、適度な圧迫感を保てるようにサイズを調節してみてください。
「ダウンタイム期間中だけ我慢すればいい」というものでもなく、圧迫固定は脂肪吸引の仕上がりにも影響するのでサポーターのサイズの可否などもスタッフに相談する事をお勧めします。
圧迫固定用サポーター
もし可能であれば、サポーターを事前に用意していただき、クリニックのスタッフにサイズ感を確認しておくなどの準備をしておくと万全でしょう。

ダウンタイム中のかゆみ症状と原因に合わせて対象方法があります。
・乾燥からくるかゆみにはクリームでの保湿。
・圧迫・摩擦からくるかゆみにはサポーターのサイズ調整やステロイド軟膏。
・仕事や外出時に対処が難しい場合などには薬の服用など。
かゆみの原因を知って、正しい対処でダウンタイム期間を乗り切りましょう!

「かゆみ」に関するお悩み相談

脂肪吸引後の痒みはどうしたら消えますか?

かゆみの原因は様々です。

術後のテーピングや包帯の圧迫・摩擦によるかぶれが原因となっておこるかゆみ、拘縮からの乾燥が原因で起こるかゆみ、また、弱めの「痛み」もかゆみとしてあげられます。それぞれの原因にあった対処を行うことでかゆみの回復へとつながります。かぶれの場合はステロイド軟膏を塗って短期的に治すことが効果的といえます。かゆみが続くと水ぶくれへと変化し、ひどくなると色素沈着を引き起すことがあるためです。乾燥によるかゆみの場合は、ローションやクリームなどを塗布しマッサージを行いましょう。マッサージを同時に行うことにより保湿をしながら血行を改善することができ、乾燥の原因である硬縮の早期改善にもつながります。弱めの「痛み」をかゆいと感じる場合は(あくまでも痛みなので)ロキソニンなどの鎮痛薬が最も効果を得られるでしょう。そのほか、アルコールやたばこはかゆみの症状を悪化させるため、飲酒・喫煙は控えていただくことをおすすめしております。

脂肪吸引した箇所が一年経ってもかゆいままです。

脂肪吸引によるかゆみは術後~3か月程度までと言われています。

かゆみが1年もの間続いているとのことですので、もしこのまま症状がおさまらないようであれば一度現状を主治医の先生にご相談いただくか、皮膚科に行って診察されることをおすすめします。

色素沈着を起こしてしまった場合の対処法について教えてください。

色素沈着を起こした場合、1年経過しても濃いめの色が残ることはあります。

色素沈着に効果的なものには、塗り薬(ハイドロキノン)のほかトラネキサム酸などの内服薬もあります。トラネキサム酸は継続的な内服が必要とされており、効果が出るまでには2週間から8週間とやや長い時間がかかります。いずれにせよ少し気長に考えていただかざるを得ません。脂肪吸引の術後は色素沈着を起こさないよう、十分なケアを行ことが最も大切です。

脂肪吸引後の色素沈着を起こさないためにはどうすればいいですか?

色素沈着の原因の多くは、傷口を掻いてしまうことです。

脂肪吸引後に傷口が痒くなったら、掻かずに患部をテープで保護してください。また、日焼けをすることで傷跡が色素沈着を起こし、シミになることもあります。手術直後の1カ月間はこまめに保護テープを張り替え、日焼けをしないことを心がけましょう。

脂肪吸引完成までのタイムライン